ワスレモノ
わら
ぽつり ぽつり
うた声、響く
どこからともなく夜をなでる
ああ、
おちていた
ああ、
おちている
だれか、ここで
おとしたんだ
だれかが ここを
行ったんだ
緒の切れた鈴のように
ひろがる雪の原の上、
しおれた羽の落つるよに
まあるい目をした
濡れうさぎ
きみは、
こうこうと
遠くで ふと、振り向いて
見果てぬさきまで、
ただ一人
紫、夜空、
ほうほうと
白き鳥、 きみは、
その上から
わたしたちは、
どう見える?
うた声だけが、なでてくれる
白い、女の声がした
冷たい風の吹く夜なれば
果てなき先まで
ただ一人
足あとだけを残してく
きっと そんな、
誰かのものだ