ラストコール
相馬四弦

板金工場の常夜灯が鼻先を照らして

土手を越えてくる 河のすえた匂い 廃水とフナの

遮断機が下りてきて カンカンうるさくて

鉄橋を渡ってくる貨物列車 積荷の豚と目が合う

電話ボックス 蛾の死骸が積もっていた

もしもし もしもし 「どちら様?」

瞼の裏側にヒントが書いてあるんだ

一秒ごとに百万色を失っていく

でもそれは聞いた話ほど綺麗なものじゃなくて

乱暴に貼られた小さなチラシに

楽園と書かれていた





自由詩 ラストコール Copyright 相馬四弦 2007-02-11 19:00:54
notebook Home