マリンタワー
銀猫

海は凪いで
時折水面の灯りが膨らむ
こんな場面に身を置くと
ゆめを見たくなる

会いたい、の裏側にある
まだ微熱を残した感情から
目を背けずに
鞄ひとつぶんの希望を詰め込んで
夢のつづきとレイルを辿り
窓を流れる景色を
きみの困った顔を
硝子の向こう側に探すのはどうだろう

荷物棚に載せた鞄は
時折ゴトゴトと音をたて
逃げ出そうと試みたり
すすり泣いたりするかも知れないが
わたしは窓に額を押しつけて
瞬間、のことばを探すだろう

海が凪いでいる
夜と水平線の境目は
更に曖昧になり
黒と濃紺を行き来している

マリンタワーの次の光に
影を暴かれる前に
ゆめ、と列車に乗ろうかと思う

足元で砂が濡れている


抱きしめたい





自由詩 マリンタワー Copyright 銀猫 2007-02-10 23:53:12
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