今でも渦巻く音
Anima

菜箸見て どきっとした

箸を口に持っていく 遠い親戚の男の子

そんな孫を 止める 祖母

そんな我が子を 止める 母親

髭だらけの 母の叔父

白目をむいた 母の叔父

今は 髭が ない

伸び放題の髪 整髪されて

目を閉じる 母の叔父

花 いっぱい

林檎と バナナ

涙をこぼす 母の従姉妹

つらかったね と 囁く 母の叔母

涙をこらえる 母の従兄弟

花 いっぱい に した のに

林檎と バナナ いれた のに

皮 あったのに

髪の毛 あったのに

檜の柩 あったのに

私は 菜箸より 長い お箸 持ってる

熱い 石の上に 白い骨 と 灰

骨 ぼろぼろ だった

肺 真っ黒 だったんだって

はじめて 見たの

顔 とか 骨 とか

私が 骨 つまむと

ぽろ って 落ちた

その人 会った とき

その人は 生かされていて

話している とことか

動いてる とことか

笑ってる とことか

みたこと ないんだ

だけど 小さな 骨壷に なって

あ やっちゃった

私 いけないこと しちゃったんだ

喪失感 みたいな かんじ

余った骨 どうする の

捨て ちゃうの

なんで 私 泣けない の


自由詩 今でも渦巻く音 Copyright Anima 2007-02-10 00:40:59
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