今でも渦巻く音
Anima
菜箸見て どきっとした
箸を口に持っていく 遠い親戚の男の子
そんな孫を 止める 祖母
そんな我が子を 止める 母親
髭だらけの 母の叔父
白目をむいた 母の叔父
今は 髭が ない
伸び放題の髪 整髪されて
目を閉じる 母の叔父
花 いっぱい
林檎と バナナ
涙をこぼす 母の従姉妹
つらかったね と 囁く 母の叔母
涙をこらえる 母の従兄弟
花 いっぱい に した のに
林檎と バナナ いれた のに
皮 あったのに
髪の毛 あったのに
檜の柩 あったのに
私は 菜箸より 長い お箸 持ってる
熱い 石の上に 白い骨 と 灰
骨 ぼろぼろ だった
肺 真っ黒 だったんだって
はじめて 見たの
顔 とか 骨 とか
私が 骨 つまむと
ぽろ って 落ちた
その人 会った とき
その人は 生かされていて
話している とことか
動いてる とことか
笑ってる とことか
みたこと ないんだ
だけど 小さな 骨壷に なって
あ やっちゃった
私 いけないこと しちゃったんだ
喪失感 みたいな かんじ
余った骨 どうする の
捨て ちゃうの
なんで 私 泣けない の