おかえりなさい
さくらほ

久しぶりの母からのメールは
「もうおとなりのうちの庭に梅が咲いたよ」だった
慣れぬメールをポツポツとうつ母の姿が浮かぶ
娘が梅の花に興味がないのは知っているはずなのに
伝えずにいられなかったのだろう

季節の訪れはどうしてこんなに優しいのだろう
春は知らぬ間に
どこかで生まれていて
柔らかに育っていて
なぜか人の背中をそっと押してくれるようで

となりの家の梅を喜ぶ母に
私もどこかで一つ春を見つけて
母に送ってあげよう
きっとそこかしこに
春の気配が隠れきれずに
呼吸をしているだろう
ああ
母と一緒に探してみるのもいいかもしれない
季節がもうすぐ春に帰ってゆく
終わりも始まりものせて

おかえりなさい


自由詩 おかえりなさい Copyright さくらほ 2007-02-09 22:33:32
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
春 COLORFUL HARMONY