ビーズ
水在らあらあ







ファスナーあいてるぜ
ビーズのドレス
子羊は
オーストラリアで死んで凍えて
この白い皿に乗って
おれたちの血肉になる

あたたかいから
おいしいから
たくさん食べな
そうして飲みな
ラリラリなのよ
ラリラリ東京
ラリラリな
おまえの涙

ナイフとフォークで
ワルツを踊れ
そして笑って
そして笑って

酒と昼寝と恋愛だけあればいい
そうして西洋に旅立って
酒とするめと恋愛だけあればいい
こうして日本に帰って

おいしかったね
子羊
あのデザートだって
たいしたもんだね
もうどこにも
行かなくていいね
もうどこにも行かなくていい
それなのに

もう
お別れだね

さよなら
さよなら
青空の下で
くちづけて
元気に
手を振って
さよなら
さよなら
歩き始めて
なにも思っていなくて
後ろから
とび蹴りしてきた
おまえに
どうしたら
もう一回
さよならできるんだ

石油売りの軽トラが
月の砂漠を歌っている
遠くには富士山が白く嶮しく
冬の空を愛している

さよならだ
この冬に
おまえの氷のような胸に
そこに触れた熱い俺の指に
青い青いトンボ玉でできたおれたちの恋に

心には
おまえがくれた
冬の夜に映える
ビーズの星だけを灯して











自由詩 ビーズ Copyright 水在らあらあ 2007-02-09 05:23:38
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