ふるる

いつからか
巨大な目/まばたきをしない目が
わたしをじっと見る

青い/緑の目をしたきれいな雌鹿
自分を巡って戦う牡鹿を
じっと見る
興味深そうに/興味がなさそうに

丘の上にある一輪挿し
何かの花/野ばらが
挿してあることを
雌鹿は
知っている/知ら ない

丘の上にはかつてテーブルがあり
わたしたちは向かい合わせで座って
糖蜜のパイを切り分けては
お互いの口へ入れていた

あのたった一輪の野ばらを
誰が摘んでしまったのかしら
わたしは
知らないわ/知ってるわ

きれいな男の人が来て
無造作に摘んで行ってしまったのよ
戦いに
勝ったから と言って

青い/緑の目をしたきれいな牡鹿が
わたしたちをじっと見る

わたしたちはもう
お腹がいっぱいなのに
糖蜜のパイを切り分けては
お互いの口へ入れて
口も服も
汚れてしまった

青い/緑の目をしたきれいな牡鹿が
口も服も
汚れてしまった
わたしたちをじっと見る

まばたきもしないで


自由詩Copyright ふるる 2007-02-08 18:50:48
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****印象詩っぽい*****