ラブレター
和泉蘆花

たとえ 僕の目が 病気で失われたとしても

僕は あなたの顔を ずっと覚えている

たとえ 僕の手が 事故で失われたとしても

足を 使って あなたを抱くでしょう

たとえ この宇宙が 瞬間に消滅しても

僕の 魂は 永遠にあなたの傍にいます



      場所も

      時間も

      容も

      一切を 失ったとしても



あなたが僕を直視できないのなら

僕は目をつぶりましょう

そうすれば あなたは 僕を見ることができる

目をつぶってさえ 僕を見ることが怖いなら

僕は目をつぶしましょう

僕を見てくれるのであれば手段は選ばない



たとえ あなたが 重い皮膚病を患っても

僕は あなたを 都会のど真ん中へ連れ出します

あなたは 僕にとって 自慢の人なのだから



たとえ あなたが 言葉を話すことができなくなっても

僕は あなたの声を 聴くことができる

温度を 失っても 可能です



あなたが目を失い 僕の詩を見ることができないなら

僕は唄いましょう

あなたが耳を失い 聴くことができないなら

封筒の中に アロマオイルを いれましょう

あなたが鼻を失い 臭覚さえもないというなら

どんな状況でも キスをしに 逢いにゆきます

あなたが口を失い キスができないというなら

あなたを抱きしめましょう

手がなければ 足で

足がなければ 胸で

なにもなければ 空気で



もしも 僕のすべてが ないとしても

もしも あなたのすべてが ないとしても

愛し合う 方法があります

信じることです



信じることができないなら 思い出しましょう

思い出すことができないなら 想像しましょう

想像することができないなら いま感じていることから

見つけてみましょう

見つけることができないなら

風に吹かれてみて



      ほら そこに そこに

      あなたの 傍に何時もいます


自由詩 ラブレター Copyright 和泉蘆花 2007-02-08 15:58:03
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