たぬき
チアーヌ

楽しいはずの
デートの帰り

彼が
たぬきを轢く

たぬきはこげ茶と黒が入り混じった体毛で
牙はするどく体長70センチくらい

道路の真ん中で横たわるたぬき

たぬきは息をしていないので
ちゃんと死んでいるらしい

たぬきが可哀相だと
わたしが泣くと

彼は無言で
たぬきを車に乗せた

トランクだけど

山の中で
わたしたちが何をしていたのか
それは
ひみつだ

たぬきはあのあと
立派な剥製になって
おじいちゃんのうちに置いてある

彼とはずっと前に
別れてしまったけれど
たぬきはまだまだ
現役だ





自由詩 たぬき Copyright チアーヌ 2004-04-12 15:45:26
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