手を握る
たもつ



踏み切りで電車がすれ違った
「電車と電車がおおまちがいだよ」
坊やは言った
大間違いするわけにもいかないので
電車は最後尾が離れる瞬間
少し間違えてみせた
「あら、間違えちゃったみたいね」
そう言って母親は
坊やの手を握り直した
春の陽射しみたいに
何処かに行ってしまわぬように



自由詩 手を握る Copyright たもつ 2007-02-08 11:23:05
notebook Home 戻る