夜空にメンテナンス
はじめ
詩が書きたくて一日中パソコンの前から動けない!!
曇り空の電車が通る日に僕はそんなことを思う
パソコンを打ちながら空を眺める
「あーぁこれは雨だな」と僕は呟く
近所の団子屋に行ってパソコンの前に包みを置いて団子を食う
僕は外に出て煙草を吸い両手をポケットにしまい込む
電車のカタンカタンカタンという音が響いている
僕は空に向け煙を吐き出し喉の奥でベト付いている醤油のたれを舌でなめ回す
煙草のくわえ部分にもたれと唾液が混ざり合ったものが付着して滲んだ
煙草を足でグリグリと押し潰し 鉄柵によしかかって大きな欠伸をする
今日は星がみえるだろうか
見えないのならばパソコンの前に戻る さらばだ
新聞紙を見て 深夜空は晴れると書いてあった
いつもの山がいいんじゃねぇか?
そうと決まったら今から睡眠を取って深夜に備えよう
支度の準備が整って時間が余ったのでラジオを聞いた
家を出るとそのまま裏手に回って山へと続く道を急いだ
山頂では雲があたかも存在していないかのように空には見えず
星座の形を成した星達が地上にではなく何処かに向かって煌めいているように見えた
満月は病的に赤く爛々と光っていた
夜空に吊された裸電球
今にも落っこちてきそうな満月
夜空にダイヤモンドを填め込んだ宇宙の精霊達
僕は座りそれらがメンテナンスを受けるところを想像してみる
メンテナンスを受けた後は月や星は一際輝いて見える
僕はその仕事がしたい
精霊になって大きな豆電球を取り替える作業とか
高価なダイヤモンドを丁寧に布磨きする作業をしてみたい
夜の爽やかな風が僕を通りすぎていき心地良い体温になる
そろそろ夜も明けてくる
もう山を下りよう
帰っても詩を書くことぐらいしかないが
それでも別にいいか
でも眠たいから家に帰ったらぐっすりと眠ろう