激しい雨と冒険
はじめ

激しい雨に打たれて
 僕の世界は潤っていく
 新しい世界では僕達は
 自由と希望と太陽の光を手に入れて
 乾いた地面から手を伸ばして太陽に向かって大声を上げる
 作物は実り小川の流れは穏やかになり虫達が大声で泣き叫ぶ
 さぁ僕達は何処へ行こう
 目的地のない目的地のある場所へと広大な旅を続けよう
 さぁその赤茶けた山を越えていこう
 太陽は西に下ってきている
 満天の星空が見えてきたとしても
 僕達は歩を休めない
 旅立とう 太陽のある先へ

 凍り付いた山に腰を下ろす
 僕は溜め息をつく
 明日はどんな場所に僕達はいるんだろう
 それが冒険だ
 迷わずに進んでいこう
 激しい雨に打たれて
 僕は俯き下にできた水溜まりを見ている
 水溜まりは叫んでいる
 「僕と一緒に何処までも旅立っていかないかい?」
 僕は首を横に振る
 水溜まりはまた叫ぶ
 「どうしてだい?」
 「僕達はやっと目的地を見つけたんだ。夢の島」
夢の島には夢の世界からしか入れない
 夢の中では激しい雨が降り続いている
 僕は部屋のガラス越しに雨を見つめている
 外には僕の水溜まりが溜まっている
 僕はベッドに入りじっとしている
 夢の世界は僕を虹の架かる島の先まで連れて行ってくれる
 遙かな空と海と大地
 僕は満足した気分で布団の裾を引っ張る
 外の世界は激しい雨に打たれている


自由詩 激しい雨と冒険 Copyright はじめ 2007-02-07 06:01:42
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