旋回、なにかの輪郭のように
たりぽん(大理 奔)


名前を呼ぼうとして
ことばに拒絶される
あなたのくちびるなのです
だきしめたいのは
いえ、むしろ
ことばでは居られないから
そばにいて感じたい
あなたのおこす幽かな風まで

   輪郭を撫でるふりをして
   目で追うみえないあしあと
   耳を澄ます
   月の欠ける音
   海の

いえ、そう
ことばでは、ことばだけではと
飛べない鳥に
おそわったのです
空は
意志という翼が
切り拓くと

   思い出のような輪郭を
   なぞりながら飛び
   影を重ねると
   ひとつになれるね
   色のない世界で
   切り絵の輪郭
   ろうそくにゆだねて

ことばではないものが
乱暴にばらまかれる
記号はすべてをあらわして
すべての名前に拒絶される

くちびるなのです
だきしめたいのは
なにかの輪郭のような
ゆるやかな曲線で




自由詩 旋回、なにかの輪郭のように Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-02-07 00:15:58
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