温もり
海月

狂おしい程に君を抱きしめた
背骨のが歪み軋む音が聴こえた気がする
優しく静かに心地良い音色

懐かしい思い出ならば色が落ち
白と黒と茶色で動いている
友は手を振りながら私の名を呼ぶ
蜃気楼の様に手を振る人は歪んで消えた

夏になると庭に小さな砂の山を造り
そこに金魚を埋めていた
父にせがみ必ず金魚掬いをして
翌日には当たり前の様に死を迎えていた

死者には花を捧げ
生き残った者は祈りを捧ぐ

夕立の庭は沈み
少しだけ小高い砂の山は潰れ始めていた
明日の朝には平らになることだろう
そこに何もなかったかの様に
萎れた花が見るに耐え難い

温もりを求めて抱き合った
少しでも生きていると理解したかった
優しく僕は君に想いを流した

死を待つだけの身に君の温もりが沁みた




自由詩 温もり Copyright 海月 2007-02-06 23:41:03
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