眠れる姫
知風

少女は聖別された湖面をゆく
首長きアヒルにまたがって

少女は男の地下迷宮をゆく
英雄的な畸形美をたずさえ

その胸の実りなき大地に
籾だねを撒くことはかなわぬ

その手足その指を求める男らに
少女はばらばらに引き裂かれ

その断片は背徳のねぐらの
飾り窓に置かれるだろう

やがて肉を持ち育つ
美しくも醜く欠けた塊

魂は見る者の湖に映り
決して細胞に宿ることはない

女の地下壕に男は彷徨い
隣で鳥人の夢を見る

かくしては時は腐熟して
眠れる姫はしゃべりだす


自由詩 眠れる姫 Copyright 知風 2007-02-06 00:59:51
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