闇で蠢くものは、星のない夜空で発火
狩心

君は何してるだろう 君は今何をしているのだろう 何をしているのか ぴちぴちと とろみのあるしずくが したたっているよ うな予感がしたよ おびただしい面積で ビシャーッと広がっているよ ここから ちからが抜けていくよ 頭から歌が消えた

透き通った肌が誘惑するんだ 透き通った肌の中には海洋生物 うようよしてるよ ここから 生命を排除したら君も死ぬよ ここから何もかもがしたたっていくよ 何もかも君のせいだ 何もかも君が悪いんだ 僕は君の穴の中に入るよ

体が干乾びていくよ 強い酸性の壁で 潮の満ち引き 締めつけられて 囚われた 頭から血を流す 極上

体を大の字にして 背伸びした僕が君を破裂させる 内側から愛しながら殺す けたたましい呼び声で呼ぶぞ うぶごえは僕だ そう言って死んだ 天秤が傾くよ うな予感がしたよ やさしい君の感覚が麻痺する 待ち合わせに遅れる 転がっている太陽

成長する呼吸 二次元から三次元へ 君は何処だろう 君は今僕のとなりにいてほしいんだ 限られた時間で集中して死ぬんだ 二人で潜水ごっこ 二人で息を止める 二人で人をさらう 引きずり込む血の海 引き込まれる肉体 引き攣った顔!

人工呼吸を行って 表情がほころんだのは束の間 唇は繋がったまま離れない 触れた皮膚と皮膚が付着する 手と手 腹と腹 二人は両性具有で 新しい命 チョコレートのように溶けた 背景は僕たちを恐れて逃げた

髪が伸び始める 締めつける 食い込む 切り裂く 求め合う 薄暗い闇の中で 手探りで 見えなくて 目を潰して 内臓を交換して 二人で泣いたよ 透き通った闇の衣が二人を包んで 天女が川を渡るよ うな予感がしたよ 行こう もう準備は出来た

僕たちはきっと



      恋に落ちるよ









自由詩 闇で蠢くものは、星のない夜空で発火 Copyright 狩心 2007-02-05 22:59:56
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