花散る里
ヴィリウ

笑つてゐてね。
だうか、御前。
何時の日も笑顔を。

花が散つてゆくよ。




空気が緩んで来たのを感じるか。
屹度まうすぐひらりひらりと、桃色の霞が舞ふよ。
御前の後姿のやうだね。
優しゐ、其の姿のやうだね。

春が来る度、屹度此の日を思ひ出さう。
風が桜に染まる度、屹度御前を想おう。



昨日は楽しかつたかい。
今日は健やかだつたかい。
明日は屹度素晴らしひ日だらうよ。

だから、ねえ御前。

笑つてゐてね。
何時の日も。
仕合わせを願つて。
わたしは、御前の為に祈るから。
だうか此の先幾歳でも、御前に安らかな笑顔を。
其の背に降り掛かる明日に、だうか美しひ希望を。





春に成る。

桜が舞ふ。

暖かひ風には桃色にけぶる霞が。




御前が笑つてゐるのなら、此の世は桃源郷のやうぢゃあないか。

解らぬかい。

愛を告げてゐるのぢゃあないか。


自由詩 花散る里 Copyright ヴィリウ 2007-02-05 17:57:19
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