四季の森
なかがわひろか

春の花を見つける
忘れないように匂いを嗅ぐ
きっとこの花が
私を飾る
だから忘れないように
匂いを嗅ぐ

夏の果実をかじる
熟す時期を覚えておく
きっと私が最期に食するのは
この果実
だから覚えておく

秋の紅葉に痕をつける
まだ青い葉の木を見つける
きっと私の血で色をつけるのは
この木
だから一滴の傷を

冬の雪にそっと祈る
私の周りを飾る花も
私が最期に食べる果実も
私の血で染まる木も
真っ白に染めてくれるように

四季は過ぎる

花、
果実、
木、
雪、

私を彩り
私を満たし
私に染まり

私を隠す

四季の森

(「四季の森」)


自由詩 四季の森 Copyright なかがわひろか 2007-02-04 22:55:46
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