冬の車窓 〜一〜
服部 剛

目覚めると 
駅のホームの端に立つ街灯の下で 
粉雪はさらさら吹雪いておりました 

次の駅の街灯の下で 
雪は舞い踊っているようでした 

その次の駅の街灯の下で 
雪はまばらに降っておりました 

深夜の雪原 
つらなる足跡の行先に 
窓明かりを灯した
一軒の家 

きいろいひかりの窓の内 
幼児を抱えた母親と 
息子と並んだ父親と 
四人の影は食卓を囲み 
音の無い笑い声がひびいていた 

窓の外いちめんに 
しんしんと 
雪は待っておりました 





未詩・独白 冬の車窓 〜一〜 Copyright 服部 剛 2007-02-04 08:43:51
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