花を食う
茉莉香

 朝日の射す部屋に久々にお花を飾りました
 真っ白な陶器の花瓶にたおやかな薄桃色と深紅
 そっけない床にコトリと置くと
 たちまち同化し花々は床に咲き乱れます
 
 私は伝うものが涙だと
 とまらないものは 涙だと知っています
 頬を濡らし襟元に広がり大きな染みとなり
 心の中に溜まっていきます
 
 スィートピー 薔薇 私の恋
 私は咲いた花をちぎって口に入れました
 青くさく苦い花びらは
 私の口の中で交じり合い何色になるのでしょうか

 気がついてしまったのです
 貴方の存在がもうとめられないほど
 大きな存在になっていることを
 逃れられない運命に逆らう気もない私は
 
 途方に暮れて花を食べます
 貴方が消えませんように
 私の中の花が貴方にはずっと咲いて見えますように
 
 


自由詩 花を食う Copyright 茉莉香 2007-02-04 00:54:20
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