白黒写真(シマウマ)
士狼(銀)

風邪をこじらせて肺が重くなった

冷たいシーツの端を
そっと爪先で手繰りながら
冬眠するみたいにとぐろを巻いた
暗い明日の叫びを
遠い意識で聴きながら

目が覚めたらシマウマだったので

善か悪かの判断とか
奇蹄目の僕には恐ろしくて
グレーゾーンっていう位置に浸る
白か黒かの基準に
ワンワン吠えてみたら

そんなに危険なものではなかった

蹄を撫ぜた夜風の群は
少しずつシマウマの皮を剥ぎ
考えすぎも考えものだと詰ってから
たまには空を見ろと
ソの音域を刻んで流れた

目が覚めたら5本の指が揃っていて
選択肢が増えたことを喜んだ
シマウマには申し訳ないけれど
ひとつの可能性よりは
いつつの方が僕は頑張れるので

シマウマはアフリカで待っててくれ


自由詩 白黒写真(シマウマ) Copyright 士狼(銀) 2007-02-03 17:21:43
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