猫
あおば
笑い
2001/05/20
(現代詩フォーラム既出)
一人遊びの友は静かにほほえむ
彼の目にも明るい影が白く光り
夢の中から好奇心は黄色く燃え立ち
野火のような臭気をあたりに漂わす
きな臭い好奇心
空咳が反射して
目に涙
群衆に媚びるこころよい分散和音が連なる曲
楽器を奏でる猫の死骸
硬直した背中
横たわる顔
口元が笑っている
放射光
2001/02/13
ぼくの中には君がいる
生まれたときは目が見えず
にゃーにゃー泣いていただけだった
初めて見たこの世界は輝いていて
君の笑顔で一杯だった
それからはいつもいっしょだね
これは内緒のことだけど
ぼくたち猫の目の中には
すべてがあるのだよ、だから
きみのこころとぼくのねがいは
山に咲くかたくりの花のように
ひそやかな詩の放射光になり
何処へでも行くことができるんだ
猫侍
2001/05/06
五月五日は鯉のぼり
真鯉に緋鯉と泳いでる
留守番役のシャム猫は
お魚くわえて逃げ出した
侍連盟脱退し侍同盟締結し
気に染まぬ不器用な魚たち
隣の不毛の沼に追いやって
私たち仲良しだけの園遊会
四日も晴れれば干上がって
ふらふらと昔の沼に憧れる
そんな奴らは見せしめに
弾の無い最前線に送り出す
文弱のわが主、戦わず戦場の露と消えました
留守猫住まいし陋屋はブラック・アウトの時節柄
配給のお魚盗む泥棒宿と陰口叩く者もあったけど
猫にお魚、武士に詰め腹、まことの教えは進駐軍
こねこ
2001/2/11
こねこねこのこここのねこ
こねこのかおがかわいくて
てんてこまいのここのねこ
こしょうがつのもちをつき
きたいどおりのまねきねこ
猫の子
虎の子ほど希少ではないものの
憧れるものの総称
俗に、ねこのここねこ という。