実験的感覚的その4
はじめ

 何度唾を呑んでも先程飲んだエビリファイの先端の感触が喉の奥にある
 絶対的な幻聴が僕の頭を支配していて現実を捻る
 物音が過度な音となって敏感となった全身の筋肉を硬直させる
 特に鼓膜は僅かな物音でも激しく撓んで全身の神経を猛烈に鞭打つ
 加えてデジャブが襲いかかる      
 頭はパニック寸前になり
 エビリファイの効力が出るまで必死に耐え続ける僕
 全ての物音を消し止めたいがどうすることもできない
 雨垂れの音 
 誰かが発狂する声 
 自動車の走り去る音 
 時計の針の音
 僕は部屋の電気を消灯にしベッドに辛うじて横になる
 姿勢をうまく動かすことができない
 全身が硬直しているせいで僅かに動くだけでも胸が激しく痛む
 雨の雫が一滴落ちるだけでも体がビクンと反応し
 胸にむず痒さが走る
 消灯の光までもが胸に重圧をかける
 誰かの話し声だけでも 
 自動車が走り去る時でも 
 時計が一秒一秒刻む音でも胸に不快感が溜まる 
 しかし僕はその中で 一種の快感を覚える
 しばらく無の時間が過ぎる 
 何もすることができないし 
 ただ過去に苦しめられた扇情的な言葉の群れが
 僕の耳元から頭の中を飽きる


自由詩 実験的感覚的その4 Copyright はじめ 2007-02-01 14:14:41
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