沈黙の音楽
し ん


つうっと
静かに脚を浸す
目を瞑りながら
とぷん、と膝を抱えて
まるで生まれる前の姿で

さあっと
周りの水温が脳内で渦を巻く
水のなだらかな揺らぎと
体内の血流がユニゾン
まるで中和されているよう

ゆらっと
少し揺らぎが大きく
からだがゆるりと動き
流れに沿ってゆく
まるで微々たるプランクトンのよう

つうっと
さあっと
ゆらっと

母なる海
しめやかなる流れ
深閑でありながらも
蒼然な水声が
脳内へと反響

世界のはじまりとおわりの
静かな物語


自由詩 沈黙の音楽 Copyright し ん 2007-01-31 23:04:15
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