きゃらめる 8
アンテ


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  はな

  1

あたたかくなるまで
まちましょう
きっとあいずがあるから
それまで
まちましょう


  2

のどがかわいていると
すかさず
みずをくれるのも
おなかがすいていると
ひなたにだしてくれるのも
すきでいてくれるから
にちがいない
でなきゃ
わたしがおもっていること
わかるはずないもの
きっとそう


  3

ひらひら
はなびらがちる
きせつでよかった
ひらひら
こちらがわと
むこうがわが
とけあって
とおくがかすんでいる
まっすぐにのぼるけむり
ひらひら


  4

ずっとさがしていた
ぴんくいろ
こばちのなかで
はなびらをすりつぶして
えふでをひたす
あやまるなら
はじめからよせばいいのに
てーぶるのすみっこ
はなののこりが
すてられずにふえていく


  5

たねをまいた
ことすら
わすれてた
こんなにおおきく
そだっていたのね
がんばったのね
ここは
ものおきにするの
ごめんね
うえかえるばしょ
なくって


  6

いちめんの
なのはな
とおくから
ながめるだけで
いちめんの
なのはな
ことしもまた
ちかづけない
もうにどと
なみだがでなくなりそうで
いちめんの
なのはな
しらないふりで
とおりすぎる
へえ こんなところがあったんだ
のんきなこえをむしする


  7

いつもの
さんぽみち
さきほこっていた
しろいはなをつんで
はなたばにして
あなたにとどけた
どあのむこう
ほんとうにかなしそうな
ひょうじょうが
とざされて
それきりいまも
くちをきいてくれない


  8

なまえをいったら
おおわらいされた
しごと
っていみがあるなんて
しらなかった
それいらい
ちがうくにへいくと
どきどきする
もちろん
じぜんにしらべたりしない


  9

わかれのきせつだとか
いのちがめばえる
きせつだなんて
ぜいたくなかんかく
はっくしょん
がらすまどのむこう
ひざしのなかを
びりゅうしがとんでいる
はっくしょん
ひとりだけ
どひょうにすらのれない
あたたかいごご


  10

きれいなはな
ひとつ またひとつ
つみとられて
かずがへっていく
きれいなはな
さがさなければ
みつからない
りゆう
きづかないふりで
またひとつ






自由詩 きゃらめる 8 Copyright アンテ 2004-04-10 16:47:47
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