インソムニアの眠り
なかがわひろか

おはようインソムニア
今日も聞かせておくれよ
僕等が眠っている間に存在した
続きの世界のことを

ねえインソムニア
君が目を閉じたとき
僕等の世界は
終わるんだろうね

そして瞳を開けたとき
新しい世界が
始まっているんだろう

そこに僕等はいるのかな
続きが遮断された世界に
僕等はきっといないかな

僕等の眠りは
いつからだろう
何も生み出さなくなった
何も変えられなくなった

目を閉じても
目を開けても
世界は何も変わらない

変わるのは
君の見る世界だけ

ねえインソムニア
今日の色を引き伸ばして
明日の色と混ざり合っても
それは結局ただの続きだね
それはきっと
君の目覚めた後の世界じゃない

ねえインソムニア
ゆっくり眠りなよ
君は十分に
続きの世界に生きた

いろんな色の夢を見なよ
いろんな味の夢を見なよ
腹を空かしたバクは
僕等が殺しておくからさ

おやすみインソムニア

おやすみ

(「インソムニアの眠り」)


自由詩 インソムニアの眠り Copyright なかがわひろか 2007-01-30 23:40:42
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