消毒された夜の怪物
hon

用がないのなら蔑んでほしい
花瓶に毒薬を満たしてほしい
洗浄された小さな濡れた手を無造作によこして
あの虜囚の唇をバラバラにしてほしい

街頭の窓からそぞろ歩きする骸骨をみたんだ
そいつはうつろな眼窩に永遠をたたえていた
ちょうど俺は味気ない食事を終えたところで
西日が建物の影に夢想的な効果を与えつつあった

そうさ 連中は怪物を歌うように牽引している
あのかしがましい怪物とはつまりこの俺だ
そうしてつつましく消毒された夜がくるんだ

火と水と大気とビー玉とリチウム電池と……
ところで運転手にチップは渡したんだっけ?
これほど忘れずに次の朝を迎えたいと思っている


自由詩 消毒された夜の怪物 Copyright hon 2007-01-30 22:13:56
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