オリオン座と月
緋月 衣瑠香

オリオン座は海も陸の様に歩けるというオリオンのこと
月は月の女神であり弓矢の名人であるアルテミスのこと

二人は愛し合っていた
でも
兄のアポロンがそれをよしとしなかった

アポロンの言葉で
アルテミスは狙ったものへと矢を向けた
それがオリオンだとわからずに

狙ったものがオリオンだと知ったアルテミスは
悲しみに明け暮れた
自分が殺めてしまった愛する人
自分が月の女神であることさえ忘れて
ただ涙を流した

なんとか愛しい人を蘇らせようとしたが
うまくはいかなかった
そして
父であり神々の王であるゼウスに頼んだ

どうか、私の最愛の恋人だったオリオンを空に上げてください。
そうすれば、私が銀の車で夜空を走って行く時に、いつもオリオンに会えるから。

そんな娘の頼みをゼウスは聞き入れ
アルテミスが夜空を照らすために
月の小舟をはしらせる通路にあたるところへと
オリオンを星にして空高く上げた

アルテミスは銀の車にのって
夜空を散歩するたびに
恋人へと逢いに行く

ほら
見上げてみて
冬の東の空に見えませんか
愛し合う二人の
ただ白く煌々輝くところが

きっと今も
二人は愛し合っている
これからもずっと
永遠に






(「オリオンの悲劇」を参照とする)


自由詩 オリオン座と月 Copyright 緋月 衣瑠香 2007-01-29 20:26:37
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