湖水のほとり
三州生桑

凍りかけてる湖水のほとりで
ゆらゆらゆれてるあれは何?

あれは仔牛の頭蓋骨
あれは仔牛の頭蓋骨

ポッカリ開いた眼窩から
無常があふれ出てゐます

冬冬冬冬(トウトウトウトウ)
仄かな幽かなあの音は?

季節はづれの雹(ヒョウ)が降り
骨をいぢめてゐるのです

あの骨は泣いてゐるのか知ら?

言ひ残したことがあるやうです
春になれば泥鰌(ドヂャウ)たちが
舌の代はりとなるでせう

  水銀のやうな月光が
  哀れな骨に垂れてゐます


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未詩・独白 湖水のほとり Copyright 三州生桑 2007-01-28 14:34:40
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