ふたつ 海へ
木立 悟
光をついばむ音のほうへ
川は流れ はばたきを描く
光をそそぎ
光を削る
下へ渦巻く緑があり
土に斜めにつらなっている
硝子の洞へひらく緑
わずかに金の森を映して
陽は増えつづけ
かたちを変え
うたであるもの 毒であるもの
そうではないもののまわりを巡る
奪われてゆく片方があり
残されるものは水辺を照らす
人造の風がひとつふたつ
人造の羽の下にこぼれる
たどりつけずに沈むものを
川は描きつづけている
はばたきは去る
海を覆う
緑は金の
金は緑の夢を見ている
舟は眠るふたつを乗せ
変わりつづける陽の下をゆく