ふたつ 海へ
木立 悟




光をついばむ音のほうへ
川は流れ はばたきを描く
光をそそぎ
光を削る


下へ渦巻く緑があり
土に斜めにつらなっている
硝子の洞へひらく緑
わずかに金の森を映して


陽は増えつづけ
かたちを変え
うたであるもの 毒であるもの
そうではないもののまわりを巡る


奪われてゆく片方があり
残されるものは水辺を照らす
人造の風がひとつふたつ
人造の羽の下にこぼれる


たどりつけずに沈むものを
川は描きつづけている
はばたきは去る
海を覆う


緑は金の
金は緑の夢を見ている
舟は眠るふたつを乗せ
変わりつづける陽の下をゆく











自由詩 ふたつ 海へ Copyright 木立 悟 2007-01-26 13:35:42
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