Noise
ユキムラ

あたしは、にこにこと笑っている。

いつも、にこにこ。


「エガオ」、と云ふらしい。


何かが違うと思っても、

誰かに酷い事をされても、

決して怒ったり、泣いたり、

感情を昂らせて心を見せたりなんて

そんな莫迦な事、絶対に、しない。



エガオでいさえすれば、誰からも咎められない。

誰かの感情も、逆撫でしない。

だからあたしは、いつもエガオでいなきゃ駄目なんだ。そう思う。



―――時々、自分が途轍もなく汚い存在に思える。


心も、体も、ナニモカモ―――。


グルグルと、頭の中を渦巻きマークが回っている。

あたしの思考を止めようとする。正常な判断が出来なくなる。


誰の言葉も、記号の羅列にしか聞こえない。



―――騒音――雑音――ノイズ―――。



その中で唯一、微かに音が単語を伝えようとする。

あたしは音に集中しようとする。

微かに聞こえる音、単語、

・・・・・・「滅」、「消」、「死」、「汚」、・・・・・・


あたしは其れ以上聞きたくなくて、暗闇に身を寄せて縮こまる。



遠くの方に微かに漏れる、細く、小さな明かりが見える。

あの光は、果たして信じても良いのだろうか。

ホンモノだろうか。





怖くて、





怖くて、





触れる事すら、叶わない。


自由詩 Noise Copyright ユキムラ 2007-01-25 01:13:52
notebook Home