草は風の道を示す
プル式
明日は少し優しくなりたくて
右手に小さな飴を握り締めた
飴が溶け出して
指と指とをくっつけてしまった
僕は優しくなれるだろうか
空には小さく魚が泳いでいった
あの筋雲は何処に行くのだろう
僕が行きたいところまで
連れて行ってくれるなら
良いのに
雨の匂いがする
あの筋雲は
もうじき消えてしまうのだろうか
僕は行きたいところまでの
道を見失ってしまうんだろうか
空には小さな魚が泳いでいった
僕は何を見ているのだろう
川の流れる音が聞こえる
蛙が小さく泣いている
風がふいて
雨の匂いがまた少し匂った
溶け出した飴を頬張ると
少し寂しくなって
ため息が出た