草は風の道を示す
プル式

明日は少し優しくなりたくて
右手に小さな飴を握り締めた
飴が溶け出して
指と指とをくっつけてしまった

僕は優しくなれるだろうか
空には小さく魚が泳いでいった
あの筋雲は何処に行くのだろう
僕が行きたいところまで
連れて行ってくれるなら
良いのに

雨の匂いがする
あの筋雲は
もうじき消えてしまうのだろうか
僕は行きたいところまでの
道を見失ってしまうんだろうか

空には小さな魚が泳いでいった
僕は何を見ているのだろう
川の流れる音が聞こえる
蛙が小さく泣いている

風がふいて
雨の匂いがまた少し匂った
溶け出した飴を頬張ると
少し寂しくなって
ため息が出た


自由詩 草は風の道を示す Copyright プル式 2007-01-23 01:46:18
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