アルピノ
umineko
誤解していた
満たされたはずの 海が
遠くひいていくような
それは
あなたの意味が乾いていく
雑踏の中で
あるいは
読みかけの本
ぱたんと 閉じて
私の中にある
孤独が笑う
あなたにも
とどかなかったから
恋は
ただの狂いいぬ
私は
どうしていいかわからずに
やたら吠えたり
走ったりして
それだけ
とどかないのだ
いや
それもたぶん違うだろう
伝えるものがなかったのだ
私の中に
あなたが
私の場所でない
そんなところに
立とうとしたから
いらだって
つらくあたった
あなたの場所が
私の中にぽっかりと ある
なにものにも染まらない
色素を持たない
斑となって
あなたの意味が乾いていく
やさしくなったと
人が問う