白い大きな樹
ふるる

蜂蜜のような青さで、と誰かが言ったので何となく納得した。最近は何となく納得することが多い。空は蜂蜜のような青さでとろりとろりと甘いもの好きな子供たちを誘うのだそうだ。それから耳。耳たぶが際限なく広がってみんなの耳たぶが一つになってしまうのだそうだ。一つになった耳たぶは、空の声を聞くだろうか。空が流星に引き裂かれた時の悲鳴などを。
                           キキキィーーーーー
自転車のブレーキ音がどこかでする、どこか、君の左肩の辺りからじゃないか、と言われる。それも納得。ブレーキ音ならば左肩からしなければならない。右肩ではなく。左肩は落ちてきた星を受け止めるために最大限の力を出したのだ。その時、身体の細胞全てが左肩に集中し、沢山の骨が生えた。
山のてっぺんに白い大きな樹が生えている。風が吹くとその音は。
   ・・・・・・・・・・
白い大きな樹は虚空を抱えて立っている。そこに青い空がかかる。蜂蜜のような青さで。

      子供たちが山のてっぺんを目指して歩いてくる。










自由詩 白い大きな樹 Copyright ふるる 2007-01-21 23:23:15
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****印象詩っぽい*****