ぽぽんた
りん

寒波襲撃
そんなニュースを聞いた 真冬の14時
近くの雑木林に 散歩にいったときの できごとです

季節はずれに咲いてしまった
きいろい ぽぽんたと 出会いました
冬の装いにも 物おじしない その姿に
わたしは 彼女の 虜になりました

パッと鮮やかな その きいろい花は
まるで 女王バチのような 気品があり
まるで 夏の線香花火のような 奥ゆかしさがある
まるで やんちゃ坊主のような 愛らしさがありました

わたしの手には 決して届くことのない
高貴なモノのようにさえ 感じました


あれから 3年後


今度は 季節はずれに咲いてしまった
しろい わたげのぽぽんたと 出会いました

ふわふわの 温かみのある その 白いわたげは
まるで 孫を大事に抱える 老女にへと
生まれかわっていました
 
手をのばせば すぐ届いてしまうほどの近距離
いじの悪いわたしは びゅーっと荒風をかけて 
彼女の全てを 破壊させてしまおうと 思いました

しかし ワタシには出来ませんでした


それから 5年後


もう あの雑木林で 
2度と あのぽぽんたと 会うことはありませんでした
彼女の 居場所が 奪われてしまったのです

平地になった灰色のコンクリートの駐車場を眺めながら
わたしは思いました

「ぽぽんたに 荒風 吹きかけてやりたかったなぁ」と


わたしの隣を
黄色いニット帽をかぶった 3歳ぐらいの男の子が
お腹が空いたと 大声で叫びながら
母親の元へと 駆けて行きました


自由詩 ぽぽんた Copyright りん 2007-01-19 01:33:47
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