雨に打たれた紙がぼくを見つめていた
ぽえむ君

雨に打たれた紙が
ぼくをじっと見つめていた
何の紙なのかは
わからないけれど
何かを言いたい気持ちが
そこにはあった

雨に打たれた紙を
ぼくはそっと見守った
何のためなのかは
わからないけれど
何かを言ってあげたい気持ちが
そこにはあった

降りしきる雨の中で
紙は少しずつ少しずつ
弱っていった
紙から聞こえてくる言葉も
細くなっていった

わずかに聞こえたその声は
世の中の生きるものへの悲しみだった
元来のあるべき姿の
元来あるべき存在の
元来あるべき目的の
どこで転んでしまったのか
それさえもわからずに
今ここにいる現実を
黙ったまま認めるしかない悔しさでもあった

ぼくは見つめるしかなかった
僕は見守るしかなかった

ぼくは
何も話しかけてあげられずに
紙はついに
何も言うことなく
地面に張り付いていた


自由詩 雨に打たれた紙がぼくを見つめていた Copyright ぽえむ君 2007-01-17 23:05:00
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