おかもと君の夢
ふぁんバーバー

おかもと君は
わたしの初めての人に
なってもいいと思ってたのに
夢ばかり語って
てんこーして行ってしまった
手紙を書くよと言ったきり
年賀状もこなかった

おかもと君の夢は
とほうもなくくだらなかった
男の子はほんとうにバカだと思った
わたしはにこにこ聞いていた
こころのなかでは
ちがうことを期待して
ひじにとまったてんとう虫を見ていた


公園でロケット花火をした
向かいの新聞屋さんの二階の窓に向けて
ロケット花火を打ちまくった
おっかない人影が見えて
いのちからがら
ふたりで逃げた
おかもと君はほんとに楽しそうだった

砂場で寝転んで
星空をみあげて
流れ星
わたしは目を閉じ待っていた
なにかを待っていた
じっと待っていた
でもおかもと君は
途方もなくくだらない夢を語るばかりだった


おかもと君とは
七年後の同窓会で再会した
わたしの初めての人は
おかもと君とは似ても似つかない人だった
頭がよく現実的で自信たっぷり
でもわたし
おかもと君のほうが好きだったよ

おかもと君は
あのころ語った夢のはじっこのほうにも
立ってはいないみたいだった
うつろではかない声で
なんかのアニメの歌を歌ってた
まわりになじめないようだった
わたしは声をかけられなかった
たぶん二度と会うことはない気がした


だけどわたしは
いまでもときどき
ふたりのりのロケットのうしろで
おかもと君のたよりない背中に
必死でしがみついて
しあわせだなあって
しみじみ目をつむってるわたしの
夢をみる





自由詩 おかもと君の夢 Copyright ふぁんバーバー 2007-01-16 19:12:01
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