私はネクロフィリア
佐々宝砂

そう私はネクロフィリア
でなければ食屍鬼である

屍体がここにある
屍体らしい臭いを発散している
腐り始めている
凝固した血液が唇からはみ出しているが
いまさら傷付けたところでもう血液は
凝固しない流れ出るだけだ
おお流れでるすべての血液を飲み干せ
だが私は吸血鬼ではない

そう私はネクロフィリア
でなければ食屍鬼である

吐露とろした暗い霧ふきだまる
墓場の中央で
ピックマンとそのモデルたちと
おどろにおどる おどるはおどろ
魂魄こんぱくこの世にとどまりて
違うちがう
こんはどこか知らない宇宙を彷徨い続け
はくの方はここにどろりわだかまっているのさ
嘘だと思うなら漢和辞典で
魂と魄をひいてみろってんだ

というわけでとにかく私はネクロフィリア
でなければ食屍鬼である

もっとうまい屍体をよこせ!


自由詩 私はネクロフィリア Copyright 佐々宝砂 2004-04-07 05:17:49
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