黒い月
なかがわひろか
アタシとあなたが
まるで夫婦のように呼応するから
嫉妬した太陽が
あなたを真っ黒に
焼け焦がした
黒い月
夜空に染まって
見えなくなる
愛しいあなたと
会えない夜は
アタシは少し
悲しい涙
黒い月
星々の輝きを
邪魔しない
穢された
月
太陽め
アタシがちゃんと
復讐してやる
あなたを焼いた
あの炎を
消し去ってやる
独善的な
あの太陽を
自分の思い通りにならないことを嫌う
自分勝手なあいつを
あなたから
突き放してあげる
黒い月
けれどあいつがいないと
本当は
輝けないことを
アタシは知ってる
真っ黒な夜空の中で
見えないあなたを
恋い慕う
(「黒い月」)