お題/愛をしてみる
茜井ことは
忘れないでいようよ
片目をつぶった偽善の素晴らしさ
ひとつだけ飛び抜けて長い小指の爪が
あなたの肌に食い込まないように
小指を丸めてあの手の平を握った
もう夜のことを
やわらかいベットに結び付けて
甘えようとするのはいやなんだ
終わりのこない昨日の墓場は
紛れもなく、この陽の当たらない時間で
拒絶はしないの
悲しいことも暗いことも全部
そろそろ薄日が差してきた
だけどほら、ひと粒の幸せくらいなら
いつだってここに転がっている
あなたの髪をすくう
どんな絵画の中よりも眩しく肌寒い
1月の真昼の中で