夏の日
湾鶴


ほ がでた

ぞろり 列をなし
あまりの眩しさに
皆 皮膚を震わせた

いくつかの球がころがり
海が無気力な日がやってくると
僅かなひとときを選び

ほ がさいた

玄関から ちいさな手だけを伸ばし
ひっそりと辺りをうかがうと
すぐに扉の錠を下ろしてしまった

農夫は今年も穂の瞬間を
見逃してしまったまま
硬く閉じた籾に触れ
汗をぬぐった


自由詩 夏の日 Copyright 湾鶴 2004-04-07 00:57:08
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