裸足で帰ろっか
Rin.

脱ぎ捨てた靴下のように
二人分の日常が床に転がったまま
今にも歩き出しそうなのは
きっと逃げ始めた体温のせい
鏡越しに いつのまにか
髪が伸びたあいつに舌を出す
時間なんて残酷で
最後のキメ台詞さえ
笑い話にしてしまう
そのくせ互いの内面に
触れようとするのが初めてなんだ
おまえの趣味ってなんだっけ、なんて
いまさら拍子抜けしてしまう
あんたのなんかないわよと
思いつきで並べた言葉を見せると
ちゃんと付き合うから
これを書き換えてよと
「除夜の鐘」から濁点を抜くような
どうしょうもない冗談
もう時期が古いから無理だって
指を組んで吹きかける
即席のしゃぼんだま
ディズニーランド、連れていってくれるなら
考えてもいいけどね なんて
確かに見覚えのある
左のピアスにささやいた
脱ぎ捨てた靴下は二人分の日常
曇ったドアの向こうに
まだ丸まっている











自由詩 裸足で帰ろっか Copyright Rin. 2007-01-14 22:38:15
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