とりとめもない、セックスのはなし
砦希(ユキ)

とりとめもない、セックスのはなし

セックスは、好きでもないけれど
たぶん、嫌いでもないのよね、と
彼女は昨日見た映画の感想でもいうような口ぶりで



?

あなたとセックスしたのは
あなたとセックスしたかったのではなくて
あなたの中の詩人とセックスしたかったのである

セックスは

ただの媒体に過ぎなかった
あなたの体は
ただの道具に過ぎなかった


そんな理由で
時々、好きでもない男とセックスをする

本当に ときどきなので
勘違いしてはいけない

どんな女にだって
セックスするための条件はいくつかあるのだ



?

愛してほしくてするセックスは
いつだって
どこか悲しい

抑えきれない感情が
すべて流れていってしまいそうだから

焦らされれば焦らされるほどに
愛が増幅していく錯覚
愛なんてほんとうは
知ってもいないのに



?

愛してください愛してください愛してください

そしたらあたしも

愛してあげられるのに



?

今日泊まっていい?と聞くあなたに
いいけど私今日生理だよ と答えたら
怒られた

道具にはされていないのだという安心感
すこし、泣きそうになった

いつからこんなに臆病に

所詮

みんな道具に過ぎないのに
あたしだって
あなただって




とりとめもない、セックスのはなし

でも嘘は一つもない
 


自由詩 とりとめもない、セックスのはなし Copyright 砦希(ユキ) 2007-01-14 02:28:51
notebook Home