Ⅱ 自動筆記
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 永遠の名犬へ


キャンパスに落ちる
ポプラの影に憩うスヌーピー達は
いつだって人なつっこい
冬の日だまりのようなぬくみで
黒目をさらに大きくして
誰かに駆け抜ける
窓ごしに見戸惑う友人も
白衣の重ね着のまま
やわらかい舌にのせて

おまえ達、実は
未来が見えていたんだろう?
スヌーピー達には
消毒済みのにおいが染みこんでいた
だからGパンにつっこんで
うつむいて

教えておくれ、チャーリー

おなじ屋根の下でくらす
懐かしいけしきの犬や
かごの鳥
身勝手な猫の
未来はどうだったのか
あの息は吸われたのかい?
それとも吐かれたの
横切った羽根のしあわせを
いち枚つかんではなさない
あの日から
弧りかたくして
しまった今日までのすべて
なんと言えばやり直せるのか
さくらいろに塗られた道を
ならんであるく
おまえ達の生活は
かがやく夜とおんがくがあった
木陰でじゃれあった
振り子のように
タクトのように
おまえ達のしっぽに
あったはずなのに

ねぇ、チャーリー

こんなにも風の強いおもい出は
いつか誰かと暮らしなおす時に
この手で伏せて
未来の墓標にし直さなくてはいけないのかい?
とき折りひかる
ますいの効いた夏
噴水のようなかがやきに
錠剤ひとつぶ落とし
悔いうたがい
駆けてゆく
おまえ達とぼくで
だきあって眠りこんだ日々を
チャーリー・ブラウン、教えておくれ
スヌーピー達が幸せだったと

空にはおまえの
においだけ満ちている

そっちだけは
いつだって楽園なんだと





自由詩 Ⅱ 自動筆記 Copyright soft_machine 2007-01-13 04:57:47
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