馬鹿やろう
ふるる
久々にハラピンの所へ行くと
焚き火をしている
煙がもくもくと空に消えていく
声をかけると
慌てて後ろに隠したものがある
あれはまさか
原稿用紙
ふざけんなよ
俺はハラピンを怒鳴った
びく、としてから大きな耳がだらんとした
何やってんだよ
「なにって・・・焼き芋を」
じゃなくて何を燃やそうとしてんだよ
また怒鳴ると
「いや・・・これ・・・よく燃えるからさ・・・」
猫背がますますまるまった
馬鹿やろう
それはお前がせいかつのために書いた詩だろう
食うものも食わずに買った原稿用紙だろう
ハラピンは黒々とした鼻をすん、と鳴らした
持っている原稿用紙をぎゅーと抱きしめた
「だって、みんながむだだからやめろって・・・・」
馬鹿やろう
お前は大馬鹿やろうだ
お前は詩ばっかり書いて何かっちゃあ「せいかつのため」
せいかつなんてできたためしもないくせに
一度もほめられたことないくせに
字もろくすっぽ知らないくせに
群れからも追い出されたくせに
いっちょまえにペンダコあるくせに
出版社で「動物お断り」って言われたって何度でも何度でも頭を下げるくせに
星をみちゃあ何か書いて
雲をみちゃあ何か書いて
夢をみちゃあ何か書いて
書いて書いて
書いて書いて
「せいかつのため」だと威張るくせに
ハラピンの馬鹿やろう
はあ?
俺は泣いていない
焚き火の煙だ
心配そうに見るな、くそ
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