冬野
未有花
あきらめました
あなたのことはもう
あきらめました
あなたのために燃やす炎は
もうどこにもないのです
私の前には荒涼とした冬野が
どこまでも広がっているばかり
ここにはあなたの影も
かつてあなたのために摘んだ花も
どこにも見当たりはしないのです
ただ冷たい冬がどこまでも
私の目の前にあるだけです
この淋しく静謐な世界に
私は身を委ねることに決めました
身を切るような風が吹いて
この両手が凍えきってしまっても
もう炎を燃やすことはないでしょう
ただひとひらの雪が舞い降りて
何もない寒々としたこの冬野を
白く染めてくれたらいいと
そしてその清らかな世界に埋もれて
静かに眠ることができたらいいと
願うのはただそればかりです
あきらめました
あなたのことはもう
あきらめました
あなたのために燃やす炎は
もうどこにもないのです