冬野
未有花

あきらめました
あなたのことはもう
あきらめました
あなたのために燃やす炎は
もうどこにもないのです

私の前には荒涼とした冬野が
どこまでも広がっているばかり
ここにはあなたの影も
かつてあなたのために摘んだ花も
どこにも見当たりはしないのです
ただ冷たい冬がどこまでも
私の目の前にあるだけです

この淋しく静謐な世界に
私は身を委ねることに決めました
身を切るような風が吹いて
この両手が凍えきってしまっても
もう炎を燃やすことはないでしょう

ただひとひらの雪が舞い降りて
何もない寒々としたこの冬野を
白く染めてくれたらいいと
そしてその清らかな世界に埋もれて
静かに眠ることができたらいいと
願うのはただそればかりです

あきらめました
あなたのことはもう
あきらめました
あなたのために燃やす炎は
もうどこにもないのです



自由詩 冬野 Copyright 未有花 2007-01-12 12:06:43
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