ボイジャー
ダーザイン
どこか遠くの知らない国で
雪がしんしん降っている
大きな街の片隅で
人と人が出会う
どこか遠くの知らない街で
風がヒューヒュー吹いている
大きな街の片隅で
男がひとり
生きる望みを見失う
遠くの山の向こうでは
桜草が咲き乱れ
子供たちの明るい声が
光射す野にこだまする
明日も今日と同じ一日
遠い異国の丘の上では
男がひとり
狙撃主に打たれる
神さまに
家族のことを頼むいとまもなかった
遠い島の波打ち際で
男がひとり船を出す
夕暮れの海に
静かに櫂挿し
どこか遠い所へ
ここではないどこかへと
冥王星の向こうでは
寂しい目をした航海者が
出すあてのない手紙を書いている