烽火
1486 106

高崎駅のロータリーで
道に迷っているおじさんがいた
丁寧に地図を書いてあげたら
お礼一つ言わず走り去っていった

駒形へ向かう電車の中で
携帯で話すおばさんがいた
勇気を出して注意したら
年下のくせに生意気だと言われた

そうやって純粋な若者達が
また一人踏みにじられていく

間違いだらけの世の中では
間違える事が正解になるのか
忘れているかもしれないけど
子どもは大人の背中を見ている

危ないからと外で遊ばせず
夕飯はコンビニ弁当で済ます
そういう孤独な私生活の中で
コミュニケーション能力を培えと言う

塾や学校が教えているのは結局
決められた語彙や方程式
人並みを期待する社会の中で
夢や個性を持てという

いつの時代も出る杭は
打たれてしまうのが世の定め

例外だらけの世の中では
過ちさえ罷り通ってしまうのか
気付いていないかもしれないけど
子どもは大人の背中を見ている

いじめ問題
マナーの低下
個人主義
犯罪の増加

未成年ばかり槍玉に挙げているけど
自分達の姿を鏡で見た事がありますか?
黒い煙に覆われている現代社会
火を点けたのは一体誰だと思いますか?

間違えだらけの世の中で
過ちだらけの世の中で
たくましく生きる子ども達を
見守ってあげられる温かい世界を


自由詩 烽火 Copyright 1486 106 2007-01-11 18:41:10
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