愛を盾に
きりえしふみ
男は我ら女を侵略する
二つの山あいを 猛々しい手と舌で闊歩しながら
歯向かうものなら 優しいその抱擁を武器に沈めてしまう
……その腕の海に
我ら女のか細い理性を切り取ってしまう
……細い糸を断ち切るように
甘い囁きを盾に 甘い囁きを武器に
男は我ら女を料理するのだ
夕べ跪いて愛を乞うたばかりの女の足元から
自分好みの型に嵌め込もうと 朝にはもう目論んでいる
甘い囁きも乾かぬ内に
広い外の……真昼の日常だけでは飽き足らずに
我らが愛しい男らは 寝室にまで銃を持ち込む
我ら愛しい男らは 寝台にまで天秤を持ち込むのだ
我らを美味しく頂こうと
したなら 此処は
薔薇の芳香が漂う ロマンチックな飼育小屋
女を捕らえ食べ尽くすための蜘蛛の巣である
可愛い花壇を持っていた 我ら美々しい地上の女神らは
早い内から 雄々しい腕に摘み取られて
その男らの足元を飾る 一輪の花と化してしまった
幾万の木々に包まれた 我ら秘密は
刈り入れられ 刻まれて
もはや白日の元で
白い胸を晒してさえいたのだ
(c)shifumi_kirye 2007/01/06