三歩あるいたら、全て忘れたい
狩心

状況は最悪、それでも太陽は青だと貫かす連中、消えろ

生み出されたものを眺め、少し考えて、削除する
「ちがう」と呟いて、武器を捨てる
座り込んで、呆然とし、何かを待っている
丘の上で小さな旗が上がった ――― 駆け上がる人々
ブカブカの靴の中は泥水まみれでグチャグチャのホカッチャ
足は腐り、異臭を放ち、臭いよ、勘弁してくれ!
動かなくなった足は、丘の斜面と同化する(なにそれ)
人々は両手を広げ、体を左右に振りながら、木々の真似をする
地球は喜んでいる?(なにを言っているのか、まったく分からない)
歴史を模写した男が「これか?」と呟いて、少し考えて「ちがう」と削除する
机を始点とした事が間違いだったと、ある作家が教えてくれた
男は歩き出す
物語のない世界へ
語り手が死去するほどの連続した瞬間のイメージが、心を奮い立たせてくれるか?
左右自動開閉式扉
あぶるがるさるたる(なにそれ)
体験の時、前世の記憶も駆け巡る?
350円のママの声 消費税はどこにも見当たらない
うんこうんこうんこ 一体 全体 何回ウンコしただろう
逆立ちから逆立ちへ 展開されていく景色が 
今日もまた 叫び声に変わる ――― ありのままではダメなんです・・・
誰にも聞こえない声で「ちがう」と呟く
ローマ帝国に犯された体が 独立戦争へと導く ――― 私は一体 何人ですか?
行ったり来たり、同じ道を鬱病のように彷徨って
どこも高速道路ばかり
町の風景は、窓から覗くばかり
隔離政策、一人の人間には一つの部屋を
窓に美しいカーテンを取り付けたところで、何も遮ってはくれない
視力0.01以下の男は、眼鏡を外す事で、外界を遮断する
滲んだ水彩画のような世界が、一つ一つの境界線をなくしてくれる
水っぽくて、紙が破れちゃう、あー、破れちゃう、金魚すくい
――― ぼやけちゃって、視力の低下が現代病でしょうか?
――― レンズ越しに世界を見る子供はこれからも増え続けますよね?
外を歩いても、見えてくるのは心ばかり
そして、心ばかり見つめる奴らと、表面ばかり追いかける奴らが、ののしり合う
男は「ちがう」と呟いて、眼鏡をかける
世界がフレームで分断され、まるで映画みたいだ ――― 私たち自身が人工物ですね?
映像を浮かび上がらせる為の電子記号が見える ――― 全てのものが記号化された?
男が瞬きする度に、画面がカットされ、時代がモンタージュされる
恐怖に慌てた指先が、誤って変更 ――― 鬼ごっこ かくれんぼ 縄跳び
あなたの人生では全てを悟る事ができない ――― それを受け入れてください
切実な現実が比喩を許さない
生み出されたものを眺め、「ちがう」と呟いて削除
永遠の真実の為に、無限の逃げ道が用意されている
――― それに感謝すればいいのか、それに怒り狂えばいいのか、
男には分からない
――― 日常生活が全てメタファーで埋め尽くされている(私の行動は全てメタファー?)
気持ちが悪い
男は机の上に何度も嘔吐した ・・・そして、今日は冬でとても寒い
窓から入ってくる風がカーテンを押し退けて、とても冷たくて、鳥肌が立つ
やっぱりまた、美しい世界に嘔吐しました
お母さん、どう考えても一人の夜は存在できません、明日の太陽は赤いと思います
タイムマシーンがあったら、
ローマ帝国に乗り込んで、自爆テロでもしようと思います
(なにを言っているのか、さっぱり分からない)
わたし、犯されています。自分でもよく分かりません。
一体全体、こんな私は、どうやって作られたのでしょう?

あー もう やだ
三歩あるいたら、全て忘れたい。


自由詩 三歩あるいたら、全て忘れたい Copyright 狩心 2007-01-09 04:53:51
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